研究室の紹介 (2024.04.01更新)
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- 新着情報 (まずはここを読んでください)
以下のリンクは,IEICE CS Global Newsletter の 2020年 12月号に掲載予定のエッセイ「Some fundamental concepts underlying my research activities」のイントロ部分の和訳です.
エッセイの続きが気になる人は当研究室に向いていると思います.
是非一緒に研究しましょう!
「私の研究活動の根底にあるいくつかの基礎的な考え」
- 研究内容
当研究室では,情報ネットワークや社会ネットワークを対象とし,基礎的なものの見方を大切にしながら関連分野の研究を進めています.
研究テーマは大きく分けると,自律分散システムの研究と社会ネットワークの研究に分けられます.
自律分散システムの研究内容
現代は情報化社会と言われ,情報通信ネットワークは社会生活にとって欠くことのできない存在になっています.
学生の皆さんは,銀行のATM,携帯電話,就職活動でのインターネットの活用などで情報システムの存在の大きさを実感できると思います.
企業の経営活動においても,情報システムの進歩による効率化,グローバル化などの変化は非常に大きなもので,
既に情報通信ネットワークは社会的インフラストラクチャの一つとして認識されています.
情報通信ネットワークには近い将来,数十億〜数百億を超える端末(パソコン,スマートフォン,センサ等)が接続されると予想されています.
また,情報通信ネットワークには次々と新しいアプリケーションが開発・導入され,社会との結びつきも密になっています.
このような情報通信ネットワークを一つのシステムとして考えたとき,自動車やパソコンなどの通常のシステムと比べて大きな違いがあります.
通常のシステムでは,システムの構成要素(部品など)の特性がよくわかっていて,それらの組み合わせにより全体のシステムを構成しています.
一方,情報通信ネットワークは,構成要素の個々の特性や状態がよくわからない上に,構成要素の数が非常に多く,それらが世界的規模で分散配置され,
緩やかに結合して一つのシステムとなっています.
これはまさに「大規模複雑システム」であるといえます.
このような「大規模複雑システム」を適切に設計して安定した運用を行うためには,
通常のシステムとは異なる考え方に基づくシステム設計法や制御法が必要になります.
つまり,構成要素の特性や状態を完全に知ることができなくても,システム全体の設計・運用が可能となる枠組みを作り出す必要があります.
本研究室では,情報通信ネットワークを「大規模複雑システム」として捉え,その設計法や制御技術などを研究しています.
身の回りにある「大規模複雑システム」の典型例は「この世界」そのものです.
この世界を構成する構成要素の数や,そこから生み出される多様性は,究極の大規模複雑システムであるといえます.
では,この世界にはなぜ「秩序」があるのでしょうか?
皆さんご存知の通り,この世界を構成する原子や素粒子の世界では,過去に起きたことが再び繰り返されることはありません.
しかしながら,私たちは「明日もこの世界は存在し,今朝と同じように日が昇る」と信じて疑いません.
本研究室では,自然界にこのような秩序が生まれるための秘密を考察し,それを工学的に利用した「大規模複雑システム」の設計・制御法を研究しています.
このことは,この世界の秩序の秘密(あたかも神様が存在するかのようにみえる秘密)を明らかにし,工学的システムの「創造主」である人間が,
神様がこの世界を創造したのを真似て工学的システムを作るにはどうすればよいか,を追求することになります.
社会ネットワークの研究内容
情報ネットワークは単なる人と人の通信手段という枠組みを大きく超えて我々の生活の中に入り込み,現実世界の社会活動とネット上のサイバー空間の事象がもはや不可分であるかのように絡み合いつつあります.
また IoT 時代の本格的な到来は,情報ネットワークに繋がる人,モノ,コンテンツなどが現実社会とサイバー空間の関係を更に複雑で有機的な構造へと進化させることになると予想されます.
一方で,このような強い結びつきによって,もはや情報ネットワークの枠組みだけで安定運用を考えるのは難しくなり,情報ネットワークに繋がる人やモノなどを含めた大きなシステムを対象にして,それらの間に生じる相互作用までも考慮した枠組みを考える必要があります.
本研究室では,人のアクティビティが情報ネットワークを介してどのように影響を与え合うのか,また,ネット炎上のような爆発的なダイナミクスはどのような仕組みで発生するのか,などの現象を説明可能な新しいネットワーク基礎理論の建設を目指しています.
その過程で,情報ネットワークの分野に自然な形で量子論的な枠組みが導入される不思議な世界が展開されます.
- 卒業生の進路 (〜2023年度卒)
2005年に発足した研究室であり,学部生には大学院への進学を推奨しています.
大学院ではこれまでに,博士6名,修士53名(2023年度修了者含む)を送り出しています.
大学院修了者の就職先は以下の通りです.
- 広島市立大学大学院 情報科学研究科 准教授 (新規採用)
- 広島市立大学大学院 情報科学研究科 助教 (現職継続)
- 富山県立大学 工学部 助教 (新規採用)
- 日本電信電話株式会社 研究所 (現職継続) (×3名)
- 日本電信電話株式会社 研究所 (新規採用)
- KDDI(株) (×13名)
- ソフトバンクモバイル(株) (×5名)
- (株)NTTデータ (×4名)
- NTTコミュニケーションズ(株) (×2名)
- 楽天株式会社
- 東京電力(株)
- 大日本印刷(株)
- 凸版印刷(株)
- (株)野村総合研究所
- (株)日本総合研究所
- みずほ情報総研(株) (×2名)
- 三菱UFJ銀行
- 農林中央金庫
- 東日本高速道路(株)(NEXCO東日本(株))
- 日本ヒューレット・パッカード(株) (×3名)
- 富士通(株)
- パイオニア(株)
- ファナック(株)
- (株)オービック
- 新日鉄住金ソリューション(株)
- NECネッツエスアイ(株)
- CBcloud(株)
- (株)菱友システムズ
- (株)サイバーエージェント
- (株)華信コンピュ-タ-ジャパン
- (株)キーマネジメントソリューションズ (ソフトウェア開発会社)
- (株)コーエーテクモゲームズ (ゲーム開発会社)
進学先は以下の通りです.
- 東京都立大学 システムデザイン研究科 情報科学域 博士後期課程
- 大阪大学大学院 情報科学研究科 博士後期課程
- 就職支援
意欲のある学生さんには,研究開発職への就職支援の一環として,企業の研究所などでの実習を実施しており,これまでに以下の研究所や技術系企業で実習を行いました.
- (株)NTTドコモ ネットワーク研究所
- 日本電気(株) NEC システムプラットフォーム研究所
- 日本電信電話(株) NTT セキュアプラットフォーム研究所
- 日本電信電話(株) NTT 情報流通プラットフォーム研究所
- 日本電信電話(株) NTT サービスインテグレーション基盤研究所
- 日本電信電話(株) NTT 未来ねっと研究所
- (株)情報工房
今後も機会があれば継続的に実施する予定です.
また,企業の研究開発部門で活躍する研究技術者を社会人ドクターコースの学生として積極的に受け入れていますので,企業の研究開発部門に関するリアリティのある情報が貰える筈です.更に研究職への就職に対するアドバイスも期待できます.
有力大学や有名企業の研究所との共同研究も盛んで,これまでに以下の相手先と共同研究をしています.
- 大阪大学
- 九州工業大学
- 東京工業大学
- 広島市立大学
- 京都教育大学
- カリフォルニア大学バークレー校(UCB)
- 日本電気(株) NEC システムプラットフォーム研究所
- (株)KDDI研究所
- 日本電信電話(株) 研究所
- (株)NTTドコモ ネットワーク研究所
- 当研究室で卒業研究を希望する学生さんへのお願い
数学やその応用に関する科目とコンピュータプログラムの勉強はしっかりやっておいてください.
私(会田)が担当する講義,演習,実験科目は,本研究室の研究活動の基礎ですので,必ず履修しておいてください.
当研究室では,最新の技術を学ぶことは勿論ですが,個々人の特性に合わせた「理系としてのものの見方」を習得してもらいたいと考えています.
将来どんな分野に進んだとしても,交錯する混沌とした情報の洪水の中で急所を見抜く力と,それを効果的に攻める基礎的な力があれば安心です.
当研究室では,以下の項目に一つでも当てはまるものがある学生さんを歓迎します.
- 情報ネットワークが好きな人.
- 世の中の技術に挑戦したい人.
- いろいろなことに興味を持って,想像力が豊かな人.
- 仲間と上手くつきあって協力できる一方で,孤独で頑張るのも好きな人.
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